一般職の女子社員がつなぐ組織の記憶

10月21日の入山先生の「世界標準の経営理論」の福岡市での勉強会に参加してきて感じたこと その④

一日お休みしましたが、レビューその④です。

 

「組織も経験から学習する」ということに関連しての気づきをまとめてみました。「組織も経験から学習する」というのは、「人は同じ作業を何度もくり返すことで、その経験から学習し、次第に作業効率が高まっていく」というラーニングカーブで示される理論ですが、組織でもラーニング・カーブが実在するという結果が得られているそうです。

 

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 では、どのような組織が記憶力のよい組織なのか。人の記憶と組織の記憶との違いともつながりますが、「トランザクティブ・メモリー」というものが重要で、トランザクティブ・メモリーとは、「組織の各メンバーが他のメンバーの『誰が何を知っているか』を知っておくことである」ということです。個人は自分の専門分野の記憶を持つ、そして、組織は、「誰が何を知っているか」がわかることで、その専門分野についてわからないときに誰か適切な人に尋ねることができ、情報の共有化ができるということなのです。

 

 ただし、難しいのは、制度的に記憶の分担の枠組み(つまりAさんは〇〇、Bさんは××という形で分担を決める)を導入すると、組織全体の記憶効率が著しく低下するという実験結果があるということです。一方で人は交流を深めると自然に、誰がどの分野が詳しいかを知る、つまりトランザクティブ・メモリーが形成されるということです。

 

 そこで、私は思いついたのですが、一部の大手企業では、一般職女子が現場をまわすということがおきています。例えば、最近取引がないお客様から以前に納品した商品のことで問合せがあったが、ちょっと特殊な商品でなぜその商品を選定して納品したか経緯がわからないということがあったとします。総合職は短期間で異動するので、前からいるつまり、転勤のない一般職のCさんに、以前どうだったかを聞く、Cさんは、自分がわかることは答えるし、わからなければ、それは、以前にいたDさんが担当していましたと答える。Dさんに聞いて過去の経緯がわかり無事に取引を再開できた。みたいなことです。

 

 つまり一般職女子は、専門性は低いですが、勤続が長いというメリットを活かして過去の経緯や、誰が何に詳しいかを知っているということです。

 顧客の情報や取引経緯などは、情報共有されているようで、実は肝心の顧客と軋轢があって決まったこと、ちょっとした顧客のキーマンとのやりとりなどは、オフィシャルな情報としては残されていないことが多いのではないでしょうか。

 女子社員の独自ネットワークと、情報共有能力(おしゃべりしながら、すごくいろんな情報を仕入れていますよね!)を活かして、組織のトランザクティブ・メモリーとしての役割を与えて、上司や同僚が頼りにするようになれば、もっと、女子社員は活躍できるのではないかと思ったのです。

 一般職の女子社員はそんなに高い報酬を求めているわけではなく、どちらかというと、プライベートと仕事を両立したいと思っている割合が高いです。でも、評価されたくないわけではない。いろんな人から頼りにされて、他の部署とも交流できれば一石二鳥です。

 もっとも、情報を持つためには、情報を整理して伝える力も必要になると思うので、教育は必要です。でも、そんなに難しい話じゃないと思いませんか。だって、会社のいろんな裏話、女子社員から仕入れていませんか。その情報の中身をちょっと変えるだけでいいのですから。

 

さて、今日もいい一日になりますように。