育児経験はイノベーションに役に立つ?

10月21日の入山先生の「世界標準の経営理論」の福岡市での勉強会に参加してきて感じたこと その③

育児経験でイノベーション

長くなってきましたが、その③です。

やっぱり育児経験っていいよね。という内容でも、ダイバーシティって育児との両立支援だよね(今頃そう思っている人は少ないと思っていたら、結構いる・・・。残念。)という内容でもありません。


勉強会で、イノベーションは知の探索と知の深化からというはなしをきいて、はたと、知の探索ならと感じたのは、育児のことでした。

 

育児って、つまり、自分の意志とは全く関係なく、これまで接していなかった世界に投げ込まれることだと思います。

自分が新しく趣味を始める、学びにいく、旅行にいく、全部少しは自分が興味をもって始めることだと思います。いやいや、「私は陶芸を始めたけど、全く興味がなかったのです!でも、友達と一緒についていって体験することになって・・・」という場合でも、そこに、まぁやってみてもいいかも。という自分の気持ちがある。

でも、育児は、私今まで全く、スポーツに興味なかったのに、子供がはじめるといいだして、毎週末は、なぜかバスケットボールの練習と試合に付き合うことになりました。みたいなケースもありますよね。練習や試合に毎週末付き合うということは、そのパパ・ママとも毎週末会う!!ということなのです。中には、学生時代からバスケットボールをしていて、子供にもさせてます。という人もいるだろうし、自分が普段接しない人たちと強制的にある程度一定の時間を過ごすことになります。しかも、私、あまり好きでないので、行きません。とは言いにくい。だって、子供は好きでいってますから。

 あくまでたとえですので、いやならいかないとか、いろいろ選択肢はあると思いますが、少なくとも、育児という経験で、自分が興味のなかった世界の入り口に立ったということは言えると思います。

 

 イノベーションが知と知の組み合わせから生まれるものだとすると、できるだけ、「知の範囲」をひろげることそれを「知の探索」とすると、育児経験も一つの「知の探索」のきっかけになりえるもので、知と知の組み合わせを思ってもみなかったものにする、遠くの知をかけあわせたときにイノベーションが生まれやすいとすれば、まさしく育児経験はイノベーションの源泉になりえるというわけです。

 

 イノベーションまではいかないよねという場合でも、少なくとも、これまで出ていかなかった場にでていき、接しなかった人と接するという意味では、「イントラパーソナル・ダイバーシティ(個人の中で持つ多様性)」を培う要素には、なりえるでしょう。

 

 あとは、同じ経験をしても、すべての人がイントラパーソナル・ダイバーシティが培えるわけでも、イノベーションに貢献できるわけでもありません。経験を昇華させて、自らのものとできるか、イノベーションに持っていくための、「知の探索」から「知の深化」への行動を、まず個人の中で起こさせ、周りにどう拡げていくか。

 もし企業が、イントラパーソナル・ダイバーシティをもつ人材を増やし、イノベーションにつなげたいと思うのであれば、知と知の組み合わせについて、ふっと思いつく時間や、内省する時間を持てるようにすること、ふっと思いついたイノベーションの種を育てられるように会社に引き上げる仕組みをつくること、そういったことも考えていく必要があると思います。

副業支援よりも育児支援

 副業が個人の知の探索に有効で、個人のキャリア形成にも効果的だということはもちろんですが、企業が副業を解禁しても、関心がある人しかやらない。すでにそういった人は会社以外のコミュニティへの参加もしている人だとすると、新たな効果は薄いです。であれば、これまで育児に関われていなかった層に育児に関わる時間をもってもらう方が効果的。育児に関われていなかったパパにPTAや子供の学校行事、子供の習い事に積極的に参加してもらうことで、「育児に理解のある会社」という企業イメージと、個人のイントラパーソナル・ダイバーシティを培う経験と、欲をいえば、イノベーションの種と3つの効果を狙っていけます。

 組織ダイバーシティは限定的に、イントラパーソナル・ダイバーシティ全社的に

 私の個人的な考えですが、組織ダイバーシティは、例えばイノベーションを生む必要が早急にある部署。例えば、商品企画や、経営企画、営業など、知と知の組み合わせを会社に繋げやすく、それが成果になりやすい部署から行う。それは、組織ダイバーシティは人の採用・異動が必要で、しかも、20人いる組織に1人別の属性の人をいれましたということでは、効果が薄い。一定数以上の割合が必要となれば、限定した組織で始めざるを得ないと思います。

 でも、イントラパーソナル・ダイバーシティは、人の採用や異動は関係ありません。イントラパーソナル・ダイバーシティを持つ人材が、組織ダイバーシティの浸透にも貢献する、多様性を受け入れやすいとすると、イントラパーソナル・ダイバーシティを持つ人材を増やすことは全社的に進めておく方がよい。とすれば、そこで副業解禁!とするよりも、育児に参加しましょう!とする方が、従業員の理解も得られやすい。

 ダイバーシティをどう戦略的にすすめるのか、ということについて、あまり考えていなかった企業があるとすれば、ダイバーシティは競争力の強化であるという目標をしっかり定めて、どこにどのように資源つまりヒトやカネや時間を投入し、会社にどのような成果を期待するのか、ダイバーシティに取り組む目的について、今一度考える必要があるのではと思います。管理職率〇〇%は成果ではないので、間違えないでくださいね。

 

 さて、今日もいい一日になりますように。