「いじめの原因は脳にある!」

産業カウンセリング 2018年1月号

脳科学者の中野信子さんのインタビューは「いじめの原因は脳にある!」との刺激的なタイトルでした。

いじめというのは、社会的排除のうち学校で行われるものです。・・・ち(中略)

社会的排除が起こるとき、私たちは利他的懲罰を行います。他者のために私がリスクを背負って懲らしめてやりましょうという行動です。

利他的懲罰は非常にやっかいな存在で、やっている本人は利他的なつもりなのです。自身においてリベンジなどのリスクがあるのに懲罰を行う正義の味方だと考えるのです。そして利他的懲罰には社会主義を実行する快感が伴います。

(中略)

誰でもこうした行動に走る可能性がある

(中略)

ネットにおける人間関係の在り方や変化の様相は人間の脳が情報を処理できる範囲よりも、少し速かったり近かったりするのだと思います。仕事には便利な速さや近さだったりしますが、人間の脳はそこまで進化しきれていないのでしょう。

 (中略)

クイックレスポンスな上に人と人の距離感を持つ余裕がありません。例えるなら騒動の渦中にいる人が自分との地続きにいるような感覚で攻撃してしまうのです。

 さらにネット空間におけるコミュニティは、時間と空間の制約がないため、似たような意見の人を集めることが容易で、こうした均質な空間では、攻撃欲求が激化しやすいのです。しかも対象を失うと、また別の標的を探します。

 ネットを見ていて、自分も攻撃的になってしまったなと感じたら、PCを消すのが一番です。私もそうしています。

 

 ネットという便利なものが与える影響について、脳科学者の立場からの意見が勉強になります。そして、PCを消すのが一番とのことに、ネットとのかかわりを改めて考えました。

 利便性は捨てきれないものの、子供などその影響を受けやすい層が、ネットとどうかかわるのか、そして、自分を客観的にみるにはどうすればいいのかはよく考えていきたいと思います。

 加えて、会社の中の人間関係が、SNSなどでプライベートでも続いている例が最近は増えてきており、SNSでのトラブルが会社での人間関係に影響を及ぼすことも増えてきています。会社とプライベートの境界は難しいですし、会社がどこまでそれに関与するのかも答えはありませんが、会社でもSNSの使い方や距離の取り方についても研修などで話をする必要がでてくるように思います。

 会社の負担はますます増すばかりとの意見も聞こえますが、そこをうまくコントロールしていける会社がこれからは強い組織