2つのダイバーシティ

10月21日の入山先生の「世界標準の経営理論」の福岡市での勉強会に参加してきて感じたこと その②

あなたはダイバーシティが進んだ会社と聞いてどんな会社をイメージしますか?

多くの人が「女性・外国人・障がい者」を雇用している。つまり「外から見える」部分のダイバーシティを想像されたと思います。

多くの企業のダイバーシティ関連の目標は「女性管理職比率〇〇%上昇とか、障がい者雇用率を〇〇%」とかですので、当然といえば当然です。


勉強会では、組織の中で、男性・女性・外国人・障害者などいろいろな属性をもつ人が働く「組織ダイバーシティ」と、1人の中でいろいろな経験をもつ「イントラパーソナル・ダイバーシティ」があるという話がありました。この話自体は、前ネットでも読んだことがありました。

キャリア構築で大切な「知・経験・情報」 入山章栄氏:日経ウーマンオンライン【WOMAN EXPO TOKYO 2016 Winter】

(このページだったか、怪しいけれど、多分内容的にはこんな感じだったと思われます。)

 

入山先生によると、イントラパーソナル・ダイバーシティをもつ人材は、組織ダイバーシティへの抵抗も少ないそうです。

確かに、先生は以前、イントラパーソナル・ダイバーシティという言葉は使ってはおられないのですが、「『タスク型』(能力・職歴・経験などのダイバーシティ)『デモグラフィー型』(性別・国籍など見た目のダイバーシティ)という2つのダイバーシティの話をされていて、タスク型はイノベーションを生むが、デモグラフィー型は組織のマイナスになる可能性がある。」とおっしゃられていました。

経営視点のダイバーシティ | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online

(詳しく知りたい方は、この記事がわかりやすいです)

 

そもそも、ダイバーシティCSRのためではなく、企業の成長、つまり、「競争力の強化」であり、「イノベーション」を生み出すためのしかけです。

勉強会の中のグループワークでも、イノベーションの創出のためには、企業のトップが重要との話がでました。でも、当たり前ですが、トップだけではなく、ボトムアップも重要。そうすると、ボトムアップする際に、中間管理職、いわゆる粘土層が邪魔になると思うのです。個人的な経験からいっても、この粘土層を打ち砕くのは本当に大変で、若手がちょっとしたイノベーションの種をみつけても、なかなか、粘土層を超えられないことが、起こっているのではと感じます。

そうすると、性別や国籍などのデモグラフィー型のダイバーシティはその要素が少ない方がいい。要素が多いほど、抵抗が大きいはず。(何の統計的裏付けもないですが)


例えば、平均年齢4×才の男性8割・女性2割の会社があるとします。その会社で、いいアイデアを閃いて、上司にかけあったときに、20代男性が言うのと、20代女性が言うのとでは、上司の受け止めが違うと思うのです。そして、上司が、そのアイデアを却下したときに、20代男性だと、他の部署の上司にかけあう、先輩にかけあうなどの突破口がひらけやすい。煙草部屋ネットワークを活かせる場面なのです。

 もちろん20代女性が突破できないわけではないですが、女性だからと思われないか、話をしっかりきいて、アドバイスしてくれる管理職がいるかなどいろいろとハードルが増え、それを1つ1つクリアしていくうちに、「もういいや・・・」と本人の気持ちが続かなくなってしまったり、アイデアが時代の波に乗り遅れてしまったり。

 

ならば、男性が8割9割を占めるような会社では、性別や国籍などのデモグラフィー型のダイバーシティはない方がいい。それが、勉強会に参加する前までの私の考えでした。

 

もともと先生の著書や、記事を読んでいたことと、私のダイバーシティ推進者としての経験もあったので、勉強会では「組織ダイバーシティは必要なく、イントラパーソナル・ダイバーシティのみでよいのでは?」という質問を先生にさせていただきました。先生の回答は、「確かにその側面はあるけれど、そうすると「知の深化」の方に傾くことになり、「知の探索」が弱くなる。イノベーションが起きにくい」とのこと。

(知の探索というのは、幅広い範囲の知のことで、深化というのは、すでに持っている知をもっと深堀していくことです。)

イントラパーソナル・ダイバーシティの限界

ここからは私の解釈なのですが、イントラパーソナル・ダイバーシティは1人の個人の中でのダイバーシティなのです。それは、どんな異業種の経験がある、海外経験がある、複数の分野での専門知識があるなど、素晴らしい経験や知見があったとしても、それは、1人の経験でしかなくて、確かに、いろんな経験を受け入れたり、多角的にものをみれたりしたとしても、その経験や判断のベースは1人の個人の中にしかない。その1人というところのダイバーシティの限界はあるのではないかと思うのです。2人、3人となれば、より厚みが増す。ダイバーシティの効果をより出すためには、イントラパーソナル・ダイバーシティをもつ20代男性3人よりも、イントラパーソナル・ダイバーシティをもつ、20代、30代、40代の男女の方が、より多面的になり、そこからイノベーションが生まれやすいということなのではないでしょうか。

 

入山先生も、ダイバーシティを推進するにあたっては、経営層、中間層にも、ダイバーシティをとおっしゃられていました。企業でダイバーシティを推進するときによくやりがちな、新卒だけ、経営層だけに女性をいれるというやり方では、ダイバーシティの効果(競争力の強化・イノベーションの創出)はでないということです。

 

ということで、私がすっきりしたのは、ダイバーシティの進め方が整理できたから。



結論

①女性の比率が3割以下、管理職に女性が少ない、初級管理職にしか女性がいないような「伝統的な」日本企業の場合、ダイバーシティは女性の採用比率だけ増やしても効果なし。イントラパーソナル・ダイバーシティをもつ人材を既存の従業員から発掘する、増やす努力をまずすべき。

例えば、別企業への出向とか、別部門への異動とか、副業を解禁してみるとか(まぁ、伝統的な企業の場合難しいでしょうけれども)


②イントラパーソナル・ダイバーシティをもつ人材が増えたところで、デモグラフィー型のダイバーシティを推進する。イントラパーソナル・ダイバーシティをもつ人材は、年齢や性別などデモグラフィー型のダイバーシティも受け入れやすいとすると、一気にダイバーシティがすすむことになる。

 

なんとなく、思っていたことが整理できて本当にすっきりしました。

 

イントラパーソナル・ダイバーシティをもつために、育児はとっても役にたつと思ったのですが、それはまた、明日。

 

今日もいい一日になりますように。